イタリア館

  歴史

イタリア人のジュセップ・ファブリー氏が設立した
フランコ・イタリアン缶詰会社の事務所兼住宅として建てられた洋館。
(青森市油川柳川30)

通称”イタリア館”は干物屋丸敏水産株式会社の住宅として使用されていましたが、
2018年5月に解体され、現在はドラッグストアとなっています。(2023年現在)


道路ばたの倉庫や堀に建物当初の赤レンガがまだ見られていました。
母屋の壁はモルタルが塗られていますが下地は元のレンガのまま、母屋の奥にはパンを焼く釜も入っていました。
レンガはイタリア製で洋館の設計と建築は、親会社神戸オンベール商会から派遣された
技師ユーネスが手掛けたものです。
屋内の各部屋のマントルピースはまだ昔のままでした。
建設当初窓のカーテン一式を調整したのが青森安方の淡谷呉服店(営業マンは若き日の淡谷悠蔵さん)
数棟の牧舎や作業小屋が立ち並び、どこか異国の田園ムードを感じさせたと思われる寺内野農牧場は、
その後、青森飛行場の敷地に含まれ、今の野木和団地の一画となってしまいました。

二頭立ての馬車を乗り廻し、毎夜マンドリンを寂しげに奏でる異国の人の姿は、
村人たちに驚きと美望の目で見られていました。
ファブリーがこの町に滞在したのはわずか2年(1917-1918)でしたが、
外国人が現地で経営した大規模缶詰工場がこの町に残した経済的文化的恩恵は実に大きいものでした。

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参照:元気町あぶらかわ物産館 木村慎一
元気町あぶらかわ瓦版おはまより